建築家の日々のエッセー


by cosyoken
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ハンス・コパー

今回は2月に岩手県立美術館で見た「ハンス・コパー展」について。

ハンス・コパー(1920-1981)は、20世紀イギリス陶芸界の巨匠
といわれている人です。都会的なモダンデザインのなかに、どこか
やさしさを秘めた作品は多くの人を魅了しています。その源を知るこ
とができるのは、王朝誕生以前のエジプトの器について書いた本人
の文章です。その一部をご紹介します。

つつましく、無抵抗で、どことなく滑稽な
しかし、力強く神秘的で官能的だ。
何かを伝えるのではなく、
自己表現をするわけでもないが、
しかし、作り手とその生きた時代の人間世界を内包し、
映し出しているように見える。
微かな力で、敬意をこめて。
「人間」によって作られた完璧に無駄のない物体。

これがハンス・コパーの作品です。
ハンス・コパー_c0097137_7154680.jpg















端正で品がありユーモアさえ感じます。古代文明の器が時代を超え
て生き続けるように、彼の作品も普遍性に満ちているように見えます。

憧れますね。また彼の文章に深く学びます。造形という分野は同じで
も建築は陶芸とは違います。それでも同じ精神を持ちたいと思います。

自己表現をするわけではなく、
作り手と住み手の人間世界を内包し、
完璧に無駄のない建築。    ・・・・・これはかなりの高みですね。
by cosyoken | 2011-05-19 10:00 | 建築