建築家の日々のエッセー


by cosyoken
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ヴォーリズの建物

ヴォーリズの建物_c0097137_7214696.jpgこれは先週、蔵王に仕事で行
ったときに撮ったものです。
陽が沈む前の光がススキを美
しく輝かせていました。
山々は色とりどりに染まってい
ます。なぜ枯れる前の葉があん
なにも華美になれるのだろう。
神様のご褒美なのかな。

今朝の朝日新聞の「ニッポン 人・脈・記」で、日本で活動した米国出身
の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズのことが書かれていました。
彼が設計し1933年に完成した神戸女学院について、ここの名誉教授
が次のように話しています。

「時間の流れがゆっくりしている。使うと、よさがしみじみわかってくる」

なんか、いいですね。私もそんな設計をしたいし、いってもらいたい。

この大学は赤字経営のため、この建物の資産価値をゼロとし、土地を
売り、郊外に広い土地を買い、近代的な高層の建物を建てよう、という
再建策がでました。このとき、この名誉教授が猛反対し、取りやめに
なっています。

建物は機能だけを満たせばいいというものではなく、建物そのものの
魅力が、人間の感情に影響を与えます。このことを理解していない人
が「ハコモノ」という表現を使うように思います。

もっともハコモノとしかいえない建物も多く存在します。機能と性能だ
けをもとめ、それに応えたそれだけの建物です。

ヴォーリズが目指したのは「愛と平和の理想社会」の建設、と記事に
ありました。この精神があったからこそ、長く愛される建物になったの
だと思います。決してハコモノとは言わせない建物、目標ですね。
by cosyoken | 2011-10-25 08:50 | 建築