建築家の日々のエッセー


by cosyoken
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見積書

このところ見積書とにらめっこが続いている。実施設計
が終わり、ひと段落がついたと思う矢先に出てくるのが
工務店などから出てくる工事費の見積書。
建主さんの予算に合えばすんなりと決まるのだが、なか
なかそうは問屋がおろさない。

実施設計図はほとんどがオーダーメイドだから、おおよ
その見当で書いているものの、見積書が出ないと実際に
いくらで造ってくれるかが分からない。

予算に合わせて設計するのがプロだろう、との声が聞こ
えそうだが、実はそれが一番簡単な道。建主さんの希望
を、それはムリといってしまえば、これほど気が楽なこ
とはない。小さく四角い箱を設計するのが無難な道。

それではつまらな建物になってしまう。せっかく大金を
かけて造るのだから、建主さんの夢をかなえてあげたい。
せっかく私に依頼してくれるのだから、素敵な建物にし
たい。何年も世に存在するのだから恥ずかしいのは嫌だ。

そんなこんなで夢を追いかけることになる。無謀な挑戦
の場合もあるのに、たくさんの夢を詰め込んだ設計がで
きあがる。すべてが実現するとは限らない。それでもい
いと考えている。夢を追いかけなければ何もない。たく
さんの夢があれば、その一部は確実に残る。

その設計の結果が、目の前にある見積書。多くの場合と
同様、予算オーバーになっていて見積調整という作業が
始まる。夢に重要順位をつけてもらい、低いものははず
していく。後でも出来る部分は延期にする。機能優先で
安くできる方法を考える。図面を書き直すリスクもある
が、それも覚悟の上。

苦しい作業だが、少しでも夢のある建物にするのが私の
役割だと考えている。私が設計させていただいた建物が
輝いているとしたら、それは建主さんと私との夢の結晶。


by cosyoken | 2013-06-29 08:00 | 建築