建築家の日々のエッセー


by cosyoken
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静かな木

少しほっとした気分になりたくて、このところ
藤沢周平の本を読み返しています。

題名は「静かな木」です。

晩年の作品で、かれの心境をかさねているようです。
物語の舞台はあの海坂藩。モデルは山形の鶴岡です。

隠居し老年の死を意識している主人公の武士が、
落葉して裸になった境内のけやきの大木を見ての一節。

  その木に残る夕映えがさしかけていた。
  遠い西空からとどくかすかな赤味をとどめて、
  欅は静かに立っていた。
・・・あのような最後を迎えられればいい。
  ふと、孫左衛門はそう思った。

静かな木_c0097137_16552310.jpg
このシーンからはじまり、息子がかつての上司の息子と果し合いをすることになったため、それを阻止しようと、過去に自分にぬれぎぬを着せた上司の陰謀を、公にしようとする展開です。

それが実り、かつての上司は失脚し、息子は助かり、
また息子に子が、つまり孫ができた喜びで終わる。

  青葉に覆われた老木は、春の日を浴びて
  静かに立っている。
・・・これも、わるくない。
   (中略)
・・・生きていれば、よいこともある。
  孫左衛門はごく平凡なことを思った。

しみじみとしますね。人生のせつなさと生きることの喜び。
でも抜粋の文章では、わからないと思いますので、
ぜひ読んでみることをお勧めします。

生きていれば・・・・・そう生きてさえいれば、きっと
いいこともあるにちがいない、そう思わなくちゃね。
  
by cosyoken | 2007-01-30 17:30 | つれづれに